今週の1曲(18)~R.シュトラウス:管楽器のための交響曲「楽しい仕事場」

今週も生誕150年のリヒャルト・シュトラウスの作品から

管楽器のための交響曲第2番 変ホ長調 「楽しい仕事場」

副題のような理想的な所があったらどんなにかいいかと思ってしまうのは横に置いておいて(^_^.)

この作品は彼の晩年、そして第2次世界大戦中の1945年に書かれました。ちなみに第1番も当然あってこちらには「傷病兵の仕事場から」という標題がつけられています。

4つの楽章から出来ていて先週の小二重協奏曲と同様に大音量のオーケストラできき手を圧倒するといった作品ではなく、小編成(12本の木管楽器とホルン4本)のアンサンブルのための曲でモーツァルト時代のセレナーデとかディヴェルティメントのような雰囲気をもっています。
第1楽章のアレグロ・コンブリオでは別の作品のテーマにする予定だったといわれる素材が織り込まれていたり、どっかできいたようなメロディー(例えば「英雄の生涯」など)がきこえてきて滅法楽しめる楽章です。
第2楽章アンダンティーノ、第3楽章メヌエットとここではまさにR.シュトラウスが敬愛するモーツァルトへのオマージュを捧げているのだろうなぁ~と感じる優美な音楽です。
終楽章はアンダンテの導入からアレグロの主要部からなる演奏時間約40分のうち3分の1位を占めます(この楽章のみ最初第1楽章として構想され1943年作曲されたといわれています)暗い導入部は思わせぶりでその後には生き生きとした動きのある音楽がきこえてきます。

心身疲労や敗戦濃厚な空気により創作意欲が衰えつつあった時期の作品といわれていますが―といってもこの頃80歳を超えていたということを考えれば当然といえば当然ともいえますが―しかしこの作品をきいていると作曲・演奏する楽しみや喜びを決して無くしたわけではないと感じます。老人のような干からびた(失礼)音楽ではなくてツヤっぽさもあって、まだR.シュトラウスここにあり!と示しているようにも感じられます。

《Disc》
オーボエの名手、現在では指揮者・作曲家としても活動しているハインツ・ホリガーヨーロッパ室内管弦楽団の管楽メンバーと1993年に録音したものがとてもイイです。
当時若手奏者により結成されたオーケストラの仲間たちがまさに「楽しい仕事場」で音楽を奏でているゴキゲンな感じが伝わってきます。
ホリガーは指揮しているというよりはそういった若手のまとめ役というかリーダー的な存在を果たしていることで奏者として加わっていているよりもこの作品が持つ味には合っていると思います。


ジャケットデザインも素敵です。

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