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4月, 2015の投稿を表示しています

インバル&都響によるマーラーの交響曲第9番

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昨年3月東京芸術劇場で生演奏をきいてきたエリアフ・インバル指揮による東京都交響楽団によるマーラーの交響曲第9番のライブ録音のディスクが発売されたのできいてみました(Octavia Records) インバル&都響による「新・マーラー・ツィクルス」は毎回ディスクになってきたのですが、あまりにも高額(1枚約税込3,500円弱!)なのとあまり新譜を追いかけてきいていく習慣がないのでなかなか手が出ませんでした。しかし、今回せっかく実演をきいてきたのだから、あの圧倒的な印象をうけた体験をもう一度できるかな?と思いながら行きつけのディスクショップへ注文したのでした(ご店主いわくこのレーベルのディスクは買い取り制のため受注販売をしているそうです) 演奏は私がきいた東京芸術劇場のみだけでなく、翌日の横浜公演、その翌日のサントリー・ホールでの3公演からのテイクが使われている様ですが、もちろんそれがどれなのかはききわける耳は持ち合わせていませんが実演での記憶がよみがえってきました! 第1楽章の張りつめた空気からしだいに熱を帯びて、嘆きが描き出されていきます。インバルの演奏は気迫が込められていて―時々オーケストラを激励するような唸り声も入っていて、実演でもきこえていましたがマイクセッティング上からもこちらの方がリアルにきこえてきて、これが嫌だという方と、熱気が伝わってきていいという方がいるかも知れません。 マーラーがこのシンフォニーを書いていた時の心境まで伝えてくれるような息苦しくなるような緊張感があります。しかし、ただそういった感情表現ばっかし重視の演奏ではなくて、磨き上げられた金属的なツヤツヤして冷たい肌触りもあります。 感情表現をバリバリ出す演奏の代表といえばバーンスタインを筆頭にテンシュテットやベルティーニ、そしてシノーポリあたりがマーラー好きな方にはよく知られています。そして精緻な演奏といえばラトルやアバド、ブーレーズあたりが浮かびますが、インバルの演奏はそのどちらかに極端に傾くわけではなく両者のバランスが見事にとれていて、でも中途半端では決して無いのが 多くの方の支持を集めることになっているのではないでしょうか? そういった面ではマーラーの作品が演奏会でも多く取り上げられるようになって40年から30年くらいのあいだ様々な解釈や演奏がなされてきた完成

新居建築Vol.3~身辺雑記

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基礎工事が始まったようなので現場まで子供と歩いて行ってきました。     こうやって見ると元からそれほど大きくない家がもっと小さく見えるのですが・・・連休明けには棟上げになるそうです。

ショスタコーヴィチ:交響曲全曲完聴記(その2)

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ショスタコーヴィチの交響曲全曲完聴記、今週は第4番をきいていきたいと思います。 ショスタコーヴィチの交響曲の傑作という人もいるくらいの完成度と長さを誇ります。この曲の特徴は1935年から36年の約9か月をかけて手掛けられ、ショスタコーヴィチ本人が「自分の仕事の集大成」というような言葉を残しているようにかなり意気込んで取り掛かかって、途中破棄された断片までが「交響的断章~アダージョ」としても残っているように試行錯誤、難産の末に完成されたものの、リハーサルも最後になったころに突如スコアが引込められて1961年に初演されるまで封印されてしまったということです。 それはなぜか?当時スターリン治政下の大規模粛清の嵐が吹き荒れていて「赤軍のナポレオン」と呼ばれたトハチェフスキー元帥までも処刑されるという「赤軍大粛清」事件も発生した時で、その関係してショスタコーヴィチ自身まで当局の事情聴取まで受けていて、その前の1936年に初演したオペラ「ムツェンスク群のマクベス夫人」やバレエ音楽が批判の対象になっていてこともあり、彼自身慎重になっていたといわれています。 まあ、長い話をくどくど書いていてもしょうがないので曲について書いていきます。 すれっからしのショスタコーヴィチ・ファンが泣いて喜びそうな音楽が第1楽章からきこえてきます。打楽器はガンガン鳴り、色々なモチーフが出てくるは、金管も吠える・・・マーラーのカリカチュア?オマージュ?賛美?また、リズムがマーラーの交響曲第4番の冒頭の鈴の音にも似たものが一瞬顔をだしますが、これもそうでしょうか? 中間部では狂ったような激しいフーガが登場しますが切迫感があって「ヤバイ」といっていいくらいで、本当にショスタコーヴィチは「狂」の面を感じさせる作曲家であると感じる瞬間です(それが本人が計算ずくでやっている可能性はあると思いますが・・・) 第2楽章でもマーラーではよくきかれる「レントラー」による第1楽章と終楽章である第3楽章を繋ぐインテルメッツォのような形の楽章です。 ショスタコーヴィチにしては!?意外とマジメ君で書いてあるように思うが少々ヘンテコなズレタたメロディーが出てきます。 終わりの所でポキポキとやるフレーズがでてきますがその乾いた音の響きは墓地で踊るガイコツのような不気味さでゾッとします! 終楽章。ここでもラ

新居建築Vol.2〜身辺雑記

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今日は午前中に建築会社さんの担当者とタカラさんのショールームへお風呂など水回り関係の検討へ。 タカラさんはメンテナンスや耐久性で抜群のホーローがイチオシで汚れに強くて、基本は洗剤無くて水だけで掃除出来るということにビックリ‼︎ 妻は他社さんのショールームも見学するらしいですが、私的には水回り全てタカラさん統一でいいと思います。 今まで妻に任せてというか、本人がどんどん進めていたので積極的に関わってこなかったのですが、現物を見たり、外壁やら屋根の色といった話になってくると現実味を帯びてきます。 建築担当者の熱心な説明やアドバイスに感謝しています。 午後は現地の様子見に行きました。 来週は水回りの配管、そしてコンクリート打ちがある予定です。

ショスタコーヴィチ:交響曲全曲完聴記(その1)

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ことし2015年は旧ソビエト連邦の作曲家 ドミトリー・ショスタコーヴィチ が1975年に亡くなって40年になります。 個人的にはショスタコーヴィチの積極的なききてではなくて、第1番のピアノ・コンチェルト、オペラ「ムツェンスク郡のマクベス夫人」、一部のカルテット・・・シンフォニーも第8番・第10番そしていうまでもなく第5番くらいなものです。 これを機にまず取っ掛かりやすそうなシンフォニーからきいていこうと思います。 ショスタコーヴィチは交響曲を生涯に15曲書いており、どの曲も興味深いものがあり、彼の生きた時代のソビエト連邦の複雑な政治状況とリンクしているところもあって、そういった暗号やメッセージをきき取ろうとするのも面白いですし、たくさんの打楽器やピアノまで動員した大編成のオーケストラ・サウンドをきくのも面白いです。 演奏はベーシックなものとして評価されている ルドルフ・バルシャイ が ケルン放送交響楽団(WDR交響楽団) を指揮したものになります。バルシャイは1924年に旧ソビエトに生まれ、ショスタコーヴィチとも交流があって第14番の交響曲を初演を担当したり、弦楽四重奏曲を室内オーケストラ用にも編曲しています。1970年代に亡命後から亡くなる2010年までに多くのオーケストラに度々客演もしていて、何度か来日もしているので生演奏に接した方もいるのではないでしょうか? これから第1番から順にきいていきたいと思います。 交響曲 第1番 ヘ短調 作品10 第1楽章、ミュートしたトランペットとファゴットによる軽快とも不気味ともいえるテーマが印象的で、既にショスタコーヴィチらしいあのせかせかしたリズムの行進曲風の旋律がきこえます。 展開部ではマーラーやストラヴィンスキーをミックスしたみたいな音楽がきこえてきます。 第2楽章は動きの速い弦楽器・管楽器がスケルツォのようで、ピアノ・ソロが登場して皮相的な感じを受けます。 第3楽章は緩徐楽章レント。もの悲しい音楽。重みのある音が深く心に残ります。ロマンティックなところと葬送行進曲による暗さが同居しています。 そのままアタッカで突入する終楽章の始まりは前楽章のレントの寒々とした空気が残っています。アレグロ・モルトに移っていくと感情が高まったように爆破、しかしとつっぜん静かになってヴァイオリン・ソ

新居建築 Vol.1〜身辺雑記

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今回は音楽以外の私的な事の投稿です。 借家生活を脱出するために土地と住宅を購入しました(^O^) 地鎮祭も済んだ先週土曜日の状況です。 一緒に連れて行った息子は遊び場と勘違いしているようで走り回っていました。。。

今週の1曲(33)~ニールセン:フェロー諸島への幻想への旅

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今年はデンマークの作曲家・カール・ニールセンの生誕150にあたります。そこで本日はそのニールセンの作品を取り上げたいと思います。 狂想風序曲「フェロー諸島への幻想の旅」 少し冷たい音色が寒々とした北大西洋に浮かぶ島のイメージにピッタリです。 ノルウェーのグリーグ、フィンランドのシベリウスと並び北欧の国民的作曲家トリオといえる人で1931年まで生きていましたが音楽の作風としては後期ロマン派に属しているといっていいでしょう。今回ご紹介するこの作品も晩年1927年の作曲なのですが、ストレートに音楽の素材を追及して構成していくところと、R.シュトラウスのような標題音楽がミックスされたような作品で、決してとっつきにくい曲ではありません。 曲の始まりは混沌として調性が不確かでいかにも20世紀に書かれた音楽といった風で、フェロー諸島に向かう旅人を乗せた船がまだ霧の中で視界が開けないといった感じなのですが、しだいに島の輪郭がはっきりしてくるようになると様々なモチーフが出てきて上陸への期待が高まっていくようです。 クライマックスへと向かうと一遍きいたら忘れられないリズミカルで活気のあるメロディーが登場します。島民が旅人の到着を歓迎して教会の鐘を鳴らし、民族舞曲で踊っている様子が浮かんできます。 その後は静けさを取り戻すのですが、ここは私が一番好きな部分で美しい自然の空気を胸いっぱいに吸い込んだ充実感があります。 【愛聴盤】 エサ・ペッカ・サロネンがスヴェーデン放送交響楽団を指揮したものしかきいた事はありませんが、 澄んだ音色が北大西洋に浮かぶ島の空気や磯の香りまで伝えてきます。  wikipediaより転載させていただきました。