『ニーベルングの指輪』完聴記(1)

今年はワーグナーの生誕200年。そして5月は22日は彼の誕生日。 買ったままのカール・ベーム指揮1966,67年のバイロイト音楽祭における『ニーベルングの指輪』全曲をききはじめました。



今まで放送や管弦楽版のディスクで断片的にきくことはあっても自分から進んできくことはありませんでしたが、こういった メモリアルイヤーに便乗してチャレンジすることにしました。

今日は序夜『ラインの黄金』から。
まずオーケストラの響きが充実しています。 ベーム=晩年のゆっくりなテンポで良い意味で重厚、言い換えると鈍重で残念な演奏の印象が強すぎたのですが、ここにはとても澄んだ音と推進力があります。それは彼の年齢やライヴという条件はもちろん、ベームという指揮者が典型的なカペルマイスターであったことであり、劇場、歌手、楽団員、聴衆に満足感を与える術を長い経験を通じて備えていたことは言うまでもないでしょう。
ひとつだけ挙げるとしたら第4場神々がヴァルハラヘ入城する場面、ここは当然きき手も陶酔に浸る所ですがー外声部の輝かしい音だけでなくて内声部がくっきり浮かびあがってきこえてきくるので高揚感も尋常ではありません! 歌手ではヴォータンのテオ・アダムは私共に苦悩するリーダーという役を陰を背負ったように、しかしちょっと抜けてるじゃないか?実際にこの物語ではヴォータンの優柔不断な態度が神々や周辺まで巻き込んで没落していくのだからー深い歌声がきけます。 それにしてもワーグナーという作曲家はケシカラン!です。ただの宝探し的ストーリーに神話を織り混ぜただけの展開をオペラにして、それも上演に4日間も!続けるとは。。。だいたいラインの乙女達が余計なおしゃべりをアルベリヒに言わなければこんなことは起きなかったのに!(だから女性のおしゃべりは・・・失礼しました。口を慎みます)っと言ってもミもフタも無いので来週末は第1夜『ワルキューレ』です。

[配役]

 ヴォータン…テオ・アダム(Br)
 ドンナー…ゲルト・ニーンシュテット(B)
 フロー…ヘルミン・エッサー(T)
 ローゲ…ヴォルフガング・ヴィントガッセン(T)
 アルベリヒ…グスタフ・ナイトリンガー(Br)
 ミーメ…エルヴィン・ヴォールファールト(T)
 ファゾルト…マルティ・タルヴェラ(B)
 ファフナー…クルト・ベーメ(B)
 フリッカ…アンネリース・ブルマイスター(M)
 フライア…アニア・シリア(S)
 エルダ…ヴィエーラ・ソウクポヴァー(A)
 ヴォークリンデ…ドロテア・ジーベルト(S)
 ヴェルグンデ…ヘルガ・デルネシュ(S)
 フロースヒルデ…ルート・ヘッセ(メッゾ・S)


 指揮:カール・ベーム/バイロイト祝祭管弦楽団・合唱団

 1966年7月26日 バイロイト祝祭劇場(ライヴ)



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