今週の1曲(6)~シベリウス:ヴァイオリン協奏曲

私の住んでいる地域はとてつもなく大雪が降って昨日から雪かきばっかりです。。。2週間続けての雪かきにウンザリです。。。

今週ご紹介する曲はベートーヴェン、ブラームス、メンデスルゾーン、チャイコフスキーと並び有名なシベリウスのヴァイオリン協奏曲 ニ短調 Op.47です。
改めて説明するまでもないくらいですが、フィンランドの作曲家ジャン・シベリウス(1865~1957)が1903年に作曲し、翌年2月に初演されますが不評に終わり大幅な改訂を施して1905年にヨーゼフ・ヨアヒムのヴァイオリン、R.シュトラウスの指揮で行われてから次第に評価が変わり、現在では交響曲や交響詩「フィンランディア」などと共に彼の代表作ひとつになっています。15歳でヴァイオリン奏者を目指したことからヴァイオリンにしっかり知識があったので高い技術力が要求されます。

曲は典型的な協奏曲らしく「速い・遅い・速い」の3つの楽章からなり、第1楽章アレグロ・モデラートは冒頭から冷たいヴァイオリン・ソロから始まります。憂鬱な感じも受けますが技巧的で華麗なパッセージもあり、通常は曲の終盤で盛り上がってきたところにカデンツァが置かれますがここでは曲の中間で登場します。この楽章だけでも十分ずっしりときます。
第2楽章アダージョ・ディ・モルトは動きの少ないシンプルな音楽。個性的な前後の楽章のための間奏曲といった方がいいかもしれません。でもソリストには気の抜けない箇所もあります。
第3楽章アレグロ・マ・ノン・トロッポはなんといっても始まりの独特なリズムからヴァイオリン・ソロが入ってくるところでしょう。その後もソロはきき手の期待に応えるように高度な技をたっぷりきかせてくれます。
私はこの曲全体に女性がちょっとヒステリー気味に「ねえ、私の話をきいてよ!」と語気を荒げたり、気を惹くために色々あの手この手を弄しているような場面があるように思います。
このコンチェルトは「女性奏者に名演が多い」という意見がありますがこういったことも影響しているのでは?と考えます。

《演奏DISC》
やっぱり先にも書いたようにセクハラ発言みたいになってしまって申し訳ないのですが女流奏者から―アンネ=ゾフィー・ムターがアンドレ・プレヴィン指揮ドレスデン・シュターツカペレと共演したものはうねるようなヴァイオリン、怪しい音色といい、曲が持っているもう一つの面である躁鬱性がよく出ています。オーケストラがソロに寄り添い過ぎと思ったらこの二人一時夫婦だったそうですね。

他にも古いものでは1949年に30歳で飛行機事故で亡くなったジャネット・ヌヴー(昔からのきき手はこの演奏を愛する人は多いと思います)、最近ではヒラリー・ハーン―これはエサ・ペッカ・サロネン&スヴェーデン放送交響楽団と一歩も譲らない堂々とした表現が面白いです。
曲をきくというよりは演奏家の表現が濃厚なのがゲオルク・クーレンカンプのヴァイオリン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィルによる1943年の戦時下のライヴ。技術ではムターやハーンのほうがうまいですがロマンティックな表現ではこちらが強く、録音状態のせいか暗く重い世界が広がっていかにもフルトヴェングラー!という独自の空間が伝わってきます。

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