松本交響楽団 第72回定期演奏会

松本交響楽団 第72回定期演奏会をききに行きました。

プログラム
・ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」
・ウェーバー:歌劇「オベロン」序曲
・ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲

ヴァイオリン:天満 敦子
指揮:丸山 嘉夫

2014年10月12日 日曜日 ザ・ハーモニーホール 開演14:00~

いきなり交響曲第6番からのプログラム―アマチュア・オーケストラにはかなり負担が大きいのでは?と思った通り、第1楽章「田舎についた時の愉快な感情のめざめ」というサブタイトルよりも馬車から降りるときから水たまりに気を付けて神経質に歩いていているような―でもうっかり馬糞を踏んでしまい「アッ!」と声をあげたみたいに音を外す管楽器群・・・といった感情になりました。以下の楽章も同じような感じです。第2楽章も「小川のほとりの風景」というよりは清掃されていない側溝といった停滞感に恨めしさを感じつつききました。しかし、第129小節からのフルート(ナイチンゲール)―オーボエ(うずら)―クラリネット(かっこう)と模倣するよく知られた場所では緊張しききても当然期待する中で健闘していました。特に全曲を通じてフルート奏者の方は良かったです。

休憩を挟んでウェーバーの「オベロン」序曲。個人的には「魔弾の射手」序曲よりも好きな曲で、冒頭のホルンの響きからメンデルスゾーンの「夏の夜の夢」などに通じるドイツの深い森、そこに居そうな妖精が舞っているような幻想的でロマンティックな音楽がイイのですがホルンは安定した響きが不足していました(松本交響楽団のホルンはもうちょっとレベル向上を求めます・・・)でも後半にかけての追い込みはなかなかです。後のワーグナーがウェーバーの作品から影響を受けたことを意識させてくれて「リエンチ」や「さまよえるオランダ人」の序曲を思い浮かべました。

そして今回の演奏会のメインディッシュともいえる、ソリストに天満敦子さんを迎えたヴァイオリン・コンチェルトです。
冒頭のティンパニの4分音符の4音もきっちりキマッテいい滑り出しでした(ティンパニ奏者の方は
前回の定期公演でも思いましたがとてもうまくて響きにもキレがあるのでその音が会場に響くとオーケストラに喝を入れているようにきこえます)
天満さんは女性に失礼ですが、細かいことには気にしない豪快ともいえる弾きぶりでした。しかし、第2楽章ラルゲットの第65小節からの技巧的でありながらも美しいメロディー・ラインを描くところの繊細な感情表現は素晴らしかったです。この楽章は緩徐楽章なのでキラキラした楽器が鳴らない分、ゆったり音楽に浸れました。続く第3楽章の冒頭はヴァイオリンソロがいきなり湧き立つようなテーマを提示しますが、ここは私がこのコンチェルトでお気に入りの部分で、クレーメルがアーノンクールと弾いた演奏が自分にフィットしていて、天満さんは少し大雑把すぎるような・・・生意気なことをいう様で申し訳ありませんがスコアに書かれているテヌートをもっと気にして弾いて欲しいと思いました。
オーケストラも終盤にかけて丸山さんの指揮のもと勢いがありました。

べ―トーヴェンのシンフォニー第6番とヴァイオリンの組み合わせのプログラムは曲の趣が似ているのでなかなか考えられていると感心しました。

アンコールは天満さんのスピーチの後、昔の日本歌謡をパラフレーズしたみたいな(月の砂漠を~♪っていう歌などが出てくる)静寂に包まれた曲でしたが、ヴァイオリンからこんなにしなやかな音が出せるんだ!と驚きながらききました。
この静かないい雰囲気のまま演奏会を閉じるなんてなんと素敵な演出と思ったら、今度はオーケストラによるアンコール―たぶんシュトラウス系列のワルツあたりだと思いますが、この手の作品にあまり興味が無いので判りませんがこういった軽薄な音楽をやるよりはさっきの天満さんのアンコールだけで終って欲しかったと感じました(ティンパニ奏者の方が兼任で大太鼓・トライアングルそしてティンパニと大活躍でしたが・・・)

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