ショスタコーヴィチ 交響曲全曲完聴記(その7)

とっても投稿が滞っていましたが(⌒-⌒; )
ボチボチとアップしていきたいと思いますのでよろしくお願い致します。

まずは途中までになていたショスタコーヴィチの交響曲完聴記からー
演奏はルドルフ・バルシャイ指揮 WDR交響楽団

交響曲第11番 ト短調 作品103 「1905年」

1957に初演された作品。
第10番がスターリンが死んで良かった!といった気分の伝わってきた作品でありましたが、このシンフォニーは体制迎合しました。という顔つきです。

1905年1月に起きたロシア革命の始まりといわれる、皇帝に請願しようと集まってきた民衆を軍隊が発砲してその数1000人を殺害したといわれる「血の日曜日事件」をモチーフとした交響曲です。

第1楽章「宮殿前広場」 圧政に耐える民衆を思わせる重く暗い始まりに革命歌も引用されて不穏な空気が漂います。冬の雲が厚く覆った冬空のもとサンクトペテルブルク王宮広場に整列した近衛兵の前にはボロボロのコートを着た民衆がゾロゾロと集まって来る様子がまるでドローンで俯瞰ショットを見せたり、それに組み合わせ地上カメラが民衆や近衛兵の顔や姿を映し出すなどリアルな描写が映画のようです。
第2楽章 「1月9日」  緊張感の高まる中、音楽が不気味に響き、突如暴力的に鳴り出す。
皇帝への請願する民衆への軍隊の攻撃が始まった事が分かります。ライフル射撃で倒れる人、騎兵のサーベルが振り下ろされる人、老いも若きも、男女の関係なく行われた無差別殺戮の様子が大オーケストラを使い描かれます。
ひと通り鎮圧が済むとそこには白い雪が赤い血で染まり、死体が折り重なりゴロゴロ転がっているゾッとする光景!ここも非常に描写的であります。
第3楽章 「永遠の記録」  倒れた人々への祈りのアダージョで、主要テーマは革命歌からの引用らしいです。始めはヴィオラがメロディーを奏して、他の弦楽器はピチカートによる静かな音楽がきかれます。そのテーマを楽器を増やして展開されて盛り上がっていくのですが、やや映画音楽寄りのつくり方のような…
第4楽章 「警鐘」  激しい動きに打楽器がいかにもショスタコーヴィチっぽいリズムをつけてまだ闘いは終わっていないとばかりに意気をあげる。
色々なテーマがでてきて曲はクライマックスを迎え革命精神は倒れないぞ!と訴える。
第1楽章の主題も顔を出して全体の統一感を持たせようともしている。
最後は鐘まで打ち鳴らされて、革命はまだ終わっていないぞ!人々よ立ち上がれ!と闘志をかきたてつつ全曲が閉じられます。

全体は描写的で第7番にも通じるわかり易さ、テーマも革命歌などからの引用が多いので、それを知っていた当時のききてには耳馴染みがあったのだろう。当局の革命精神の啓蒙という意味では良くあっていたのだろう。1958年にはこのシンフォニーにレーニン賞が贈られています。

ショスタコーヴィチ自身も独裁型共産主義には疑問をもっていたが、共産主義革命にはシンパシーを持ち信じていた事が伺えます。

若書きの第2番シンフォニーを拡大して、チャイコフスキーの序曲「1812年」のような血なまぐさい描写音楽系のリアル版といった感想を持ちました。しかし、延々約60分もきくにはちょっとツライシンフォニーではあります。


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