松本交響楽団 第71回定期演奏会
松本交響楽団 第71回定期演奏会をききに行きました。
於:2013年10月12日日曜日 松本市ザ・ハーモニーホール
私が松本交響楽団の演奏に触れたのは中学生の時、地元の文化祭に合唱団の選抜メンバーになってそのステージでウェルナーの「野ばら」などを歌った際に共演したのです(その当時はテノールからバスまで出せる美声!?だったのダ!)
地元の音楽祭のパンフレット |
第51回 定期演奏会のパンフレット&チラシ
第71回 定期演奏会 チラシ |
第71回 定期演奏会 パンフレット |
演奏会最初はモーツァルトのオペラ「ドン・ジョヴァンニ」序曲でした。その後の演目がトリプル・コンチェルト、「エロイカ」シンフォニーと考えると「コリオラン」とか「エグモント」、メインが「エロイカ」なら「プロメテウスの創造物」序曲でも(結局「プロメテウス~」はアンコールで演奏されたのでうまく〆まりました)モーツァルトならオペラ「魔笛」序曲の方がよかったのでは?と要らぬことを考えながらきいていました。「ドン・ジョヴァンニ」のデモーニッシュな響きを出すのは難しいなぁと感じました。
そして次がピアノが岩波佳代子さん、ヴァイオリンが三溝健一さん、チェロが三森未來子さんのソロによるトリプル・コンチェルト。第1楽章の冒頭は弱音と遅いテンポで弦楽器から開始ですが、恐る恐る弾いている奏者達の緊張が伝わってくるので、きいているこちらもドキドキしてしまう演奏が始まりました。その空気がソリストにも伝播していろいろな意味で面白くきいていました。
そんな中ででさすが三森さん、プロとして場数も踏んでいるのでチェロが響くと存在感がありました。しかしこの曲、彼女もほとんど演奏したことがないのでは?悪戦苦闘している姿が印象的でした。でも私たちききては演奏家のそういった場面を目撃するとテクニック抜群の奏者により難なく弾かれる音楽をきく時とはまた別の魅力に魅かれます。
第2楽章は短い間奏曲といった感じのロマンテックな音楽ですがこのコンチェルトで私が一番好きなのはその終盤部でチェロがローローと歌いながらオーケストラを導くように第3楽章へアタッカで入っていくところです。この演奏会でも濁りが感じられずイイ線いってました。
第3楽章ではきいているこちらがしつこすぎて飽きるくらいテーマを単調にソリストが順にヴァイオリンからチェロそこにピアノやオーケストラがチャチャ入れるように加わるパターンなど、あの手この手で変えて、演奏家同士が「ああよかった、やっとここまで来たね。頑張りました!」と労いあっている所をきかされ続けているのをきいている感じです。やっぱり生できいてもその感想は変わりませんでした。
ヴァイオリンの三溝さん、上ずりながら(ライヴという空間だから当然と言えば当然かもしれないのですが)仲間との共演することに嬉々とした表現、ピアノの岩波さんも(この曲はピアノの見せ場が少ないのですが)しなやかな品のいい音がしていました。
演奏会後半、メインは「エロイカ」シンフォニーです。
《トリプル・コンチェルトの始まりとは違い第1楽章冒頭主和音2発をスタート合図にダッシュすれば大丈夫!》とオーケストラを応援する気持ちになってききました。
弦楽器はまだ向上が必要ですが木管楽器群(第2楽章オーボエ・ソロ見事でした!)のやわらかい響き、トランペットのアグレッシブな音が全体に喝を入れるが如く、そしてティンパニがピリッと締める。そして手堅くも楽団員を奮い立たせる(終楽章チェロ奏者への指示)丸山さんの指揮でした(この交響曲の「ある英雄」とはギリシア神話の「プロメテウス」を暗示しているという解釈の実践と思いますが、せっかく動員した5本のホルンの皆様にはもっと張りと安定が欲しかったです)
松本交響楽団の団員の方々にはこれからも地域の音楽文化の基盤造り、発展への寄与をお願いいたします。ききても演奏会に足を運ぶなどしてその活動を支えていきたいと思います。
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