ワンコイン・フレッシュコンサートVol.4「弦楽四重奏曲の夕べ」をきく

別にアップした「河西絢子さんヴァイオリン・リサイタル」の夜に同じホールで行われたワンコイン・フレッシュコンサートVol.4「弦楽四重奏の夕べ」

でも、こちらは「フレッシュ」といっても既にソロ、講師等で活動されている中堅と言った方がいい女性演奏家(失礼!)によるもので、メンバーはファースト・ヴァイオリンが浅井千裕さん、セカンド・ヴァイオリンが三木希生子さん、ヴィオラが成瀬かおりさん、そしてチェロが植草ひろみさんです。





今回、わざわざ岡谷まで出掛けたのはメイン曲、グリーグのカルテットをきくのが目的でした。
このとてもレアなカルテット。10代後半にきいて以来、シベリウスの第1番のそれと並んで北欧カルテット名曲として密かに愛してきましたが何しろ音盤が皆無でNHK-FMのエアチェックをしたテープがあったのですが引っ越しや片付けで長く行方不明になってしまい、コンサートできく前にもう一回きいておこうと思って入手したのがソルヴェ・シーゲルラン(ファースト・ヴァイオリン)、アトレ・スーポンベルグ(セカンド・ヴァイオリン)、ラルス・アンデルス・トムテ(ヴィオラ)、トゥルルス・モルク(チェロ)によるものです(グリーグのチェロ・ソナタという秀作も入ったお得版。EMI)
恐らく国内盤として入手可能なものはこれだけではないでしょうか?とていい演奏です。

グリーグ:弦楽四重奏曲 ト短調 作品27

1878年に作曲された唯一のカルテットです。

第1楽章はウン・ポコ・アンダンテのドラマテックな序奏からきき手を引き付け、アレグロ・モルト・エド・アジタートの主部では北欧の厳しい寒さが伝わってきます。
第2楽章、ロマンツェ(アンダンティ-ノ)は清らかな音楽の流れは彼が生涯に渡って書き綴った抒情小曲集にも通じる空気があります。
第3楽章、インテルメッツォ(アレグロ・モルト・マルカート)、北欧の舞曲をイメージできるメロディーが中心になりますが、私はここでシューベルトのカルテット「死と乙女」と通じる精神性があると思います。
第4楽章、レントープレスト・アル・サルタレロ。ここではイタリア舞曲「サルタレロ」(メンデルスゾーンの「イタリア・シンフォニー」の終楽章でも使用されている)が基本リズムになって、第一楽章冒頭のメロディーや第3楽章のテーマが回帰します。北欧風舞曲ではなくてサルタレロを使用したことによって興味深い音楽になっています。

今回のコンサートでは情感もあるいい演奏で、なんといっても気合の入った力演でしたが、荒っぽくなるところはあまり無く、ハイドン~ベートーヴェン~シューベルトなどのカルテットをベースにしながら独特の音楽技法で作られたこの曲をまとめあげていました。

この曲に限らず他の曲でも感じたのですがチェロの音がとても大きい場面があり、それがよく作用しているときとちょっとウザい時がありました。グリーグのカルテットの第1,4楽章ではその長所が出て安定感がありました(当然、バランスをとるためリハーサルをきいている人がいるはずですが・・・)

最後に常設の団体ではないことやききに来るであろう客のレベルを考慮したと思いますが、もう1曲くらい純然たるカルテットをききたかったです―ハイドンあたりを―
モーツァルトのセレナード「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」を1曲めに演奏したのですがてっきり全曲かと思っていたら第1楽章だけで拍子抜けしました。美しい第2楽章もききたかったのですが。


機会があれば再び結成いただきコンサートを実現して下さい。その時はまたききに行かせていただきます。

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