モーツァルト:交響曲全集完聴記(その2)
先日の クリストファー・ホグウッド さん追悼から始めた モーツァルトの交響曲全集完聴記 の 第2回 です。 CD2 をきいていきたいと思います。 ・交響曲 ニ長調 K.95(73n) 1770年頃、ローマで作曲されたものですが、自筆譜が残されていないので疑作説があります。 オペラの序曲を思わせるトランペット、ティンパニを編成に含む祝典的な音楽です。第2楽章アンダンテではここでしか登場しないフルートがグルックのオペラ「オルフェオとエウリディーチェ」で一番有名な「精霊の踊り」を思わせる楽想で印象的な場面をつくっています。 メヌエットを第3楽章に含み、全4楽章のそれなりの充実感はあります(このメヌエットは後になって書き加えられたといわれています) ★★ ・交響曲 第11番 ニ長調 K.84(73q) この曲も1770年にボローニャおよびミラノで書かれたとされていますが真作か疑いがある作品です。 第1楽章の滑らかなメロディーや問いと答えのように強弱が対比します。第2楽章のアンダンテではピチカートを使用しているところがユニークで、歌心溢れるメロディーが特徴です。 全3楽章を通じてイタリア・オペラからの影響と思われるものが多いです。終楽章のコーダは第33番の交響曲に似ているように思いました。 ★★★ ・交響曲 第10番 ト長調 K.74 1770年ミラノで書かれたとされ、自筆譜が残っているので真作とされますが、モーツァルトの初期交響曲をめぐる状況は現在でも混沌としているらしいので、学者先生の研究成果だけでなくて自分の耳を信じてきくしかないと思います。また、どれが「モーツァルトカナ?」と考えながらきく楽しみもあります。 第1楽章の弦楽器と管楽器がズレて奏される所はモーツァルト流のジョーク?を思わせ、そして続いて演奏される第2楽章アンダンテは牧歌的になります。終楽章ロンド(アレグロ)冒頭の弱音からフォルテへの加速は後期の作品にもきかれる手法が、中間部で弦をかき鳴らすように弾かれる箇所(トルコ風!?)は面白いです。所々に仕掛けられたワナがモーツァルトらしい「ユーモア・シンフォニー」―思わぬ拾いものです。 ★★★★ ・交響曲 ニ長調K.87(74a) オペラ「ポントの王ミトリダーテ」序曲 ホグウッド版の拡